COLUMN

「1か月平均所定労働時間」って、どう出すの?
——残業代と最低賃金の“もとになる数字”です

2026年10月30日|マミ社会保険労務士事務所(北九州)

こんなお悩みはありませんか?

「最低賃金の記事に出てきた『1か月平均所定労働時間』って、何のこと?」
「残業代の単価、前の担当者が決めた数字をそのまま使っている」

この数字は、月給の社員さんの残業代と、最低賃金の確認の、両方のもとになります。
出し方は、一度覚えてしまえばむずかしくありません。

出し方は「1年の所定労働時間 ÷ 12」です

月給を時給に直すときのルールは、労働基準法の施行規則(厚生労働省の省令)でこう決まっています。

「月によつて定められた賃金については、その金額を月における所定労働時間数(月によつて所定労働時間数が異る場合には、一年間における一月平均所定労働時間数)で除した金額」

【出典】労働基準法施行規則 第19条第1項第4号(e-Gov法令検索)(2026年10月30日確認)
最低賃金の確認でも、同じ考え方です(最低賃金法施行規則 第2条第1項第3号)。

多くの会社は月によって休みの日数が違うので、「1年間の平均」を使います。

(1年の日数 − 年間休日)× 1日の所定労働時間 ÷ 12

この式は、毎日の所定労働時間が同じ会社の場合です。土曜日だけ半日など、日によって時間が違う会社は、1年分の所定労働時間を足し上げてから12で割ります。

年間休日1日の所定計算1か月平均
105日8時間(365−105)× 8 ÷ 12約173.33時間
120日8時間(365−120)× 8 ÷ 12約163.33時間

同じ月給でも、年間休日が多い会社ほど時間が短くなり、時給に直した単価は高くなります。
(うるう年は1年を366日で数えます。)

なお、割る前の「月給」からは、入れない手当を外します。残業代の単価なら、家族手当・通勤手当・住宅手当などは計算に入れません(労働基準法 第37条第5項・同施行規則 第21条)。最低賃金で外す手当は、今週のくわしい記事にまとめています。

よくある間違いが3つあります

① 有給休暇の日を休日として引いてしまう
年間休日は、就業規則や会社カレンダーで「もともと休み」と決まっている日です。有給休暇で休んだ日は、もともとは働く日なので引きません。

② ほかの会社や、ネットで見た数字をそのまま使う
よく見かける「173.8時間」は、週40時間を1年分にならした、いわば上限の目安です。自分の会社の年間休日から出した数字とは、一致しないことがあります。(うるう年の年や、週44時間の特例が使える業種・規模の会社では、この目安自体も変わります。)

③ 時間数を切り上げてしまう
時間数を多めにすると、割ったあとの単価が下がり、社員さんに不利になります。小数点第2位くらいまで残して計算すると安心です。

中小企業の現場では

私は社労士になる前、総務・人事の仕事をいくつもの会社でしてきました。
この数字は、一度決めると何年も見直されないことが本当に多いのです。

年間休日を増やしたのに、残業代の単価は昔の時間数のまま——ということもありました。
会社カレンダーを作る時期に、あわせてこの数字も出し直す。それだけで安心が増えます。

まとめ

① 1か月平均所定労働時間=(1年の日数 − 年間休日)× 1日の所定 ÷ 12
② 残業代の単価と、最低賃金の確認の、両方に使う(割る前に、入れない手当を外す)
③ 年間休日を変えたら、この数字も出し直す

ここでご紹介したのは一般的な考え方です。変形労働時間制をとっている会社や、社員さんによって所定労働時間が違う会社は、計算が変わることがあります。くわしくはご相談ください。

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